DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス)

「人類が知っていることすべての短い歴史」を読んでよくわからなかったのが、DNAのくだりだった。本著は、図解に力点を置き、視覚的な理解を後押しする（DVD付）。高校時代にはさっぱりわからず、興味も持てなかった生殖細胞分裂がすとんと落ちたのだから高校生レベルには近づいたかもしれない（なわけないか…）。それにしても自分自身に、これほどの高機能スペックがそなわっているとは、不思議な気分だ。「ゲノムDNAには一日１細胞あたり、５万〜５０万カ所に何らかの傷が入る」と言われても、ふーんって感じだが、その修復過程を映像で見ると普通に感動するな。それと二次元で見るDNA構造の概念図は正確ではないらしい。「少しでも全体を知ろうとして、できるだけ複数の因子を描いている図を探したのですが、そこで何とも不思議なことに気がつきました。DNAとタンパク質の大きさのバランスがいい加減に描かれている。複数のタンパク質がある場合、その大きさの関係も正確ではありません。とくにDNAを一本の線で表している場合、二重らせんにしてみると、こんな構造はあり得ないとなってしまうことが多いのです。」物事を理解するに際しては、テキストを選ぶということは、非常に大事なわけだ。それと表現から理解するという側面と、表現して理解するという側面があることを著者が自覚していくくだりは、非常に参考になった。インプットによる学習とアウトプットによる発見って感じかな。